家の近くに沼がある。
なんのための沼かはわからないが、たぶんきっと貯水のための沼なのだろう。調整池かなんかなのだろうか。
その沼によくザリガニつりにいっていた。
当時、今は亡き祖父はその沼に引き込まれるぞ。足を持たれて引きずり込まれるぞ。と、言っていた。
ほんとうかな~なんて、子供ながらに思った。ザリガニつりに行くのが夜だったら少しは考えたかもしれない。夜なんておばけのでる定番ではないか。でも、昼間だったからけっこう平気だった。
昼間のザリガニつりは明るくて、平和でのほほんとした空気が漂っている。こんな平和な空気がながれるゆったりとした空間に足をつかんで沼に引きずり込む妖怪なんて出てきやしないさといった感じでザリガニつりに夢中になった。
沼のすぐそばにお墓があって。それこそ、沼から1メートルくらいすぐそばにお墓がある感じで、なんだか、わけありっぽくて気になったが平和な日向の空気のほうが勝っていた。
ときどき、あわがポコポコでたりして、ハッとするときもあったが、おばけさえ出なければオッケーだった。
それでも、あの頃から少しはおばけをみることに興味はあった。怖いから信じたくはなかったがなんとなく、みて見たいきがした。あの本のあのページに描かれていたように、あたまには皿があり、皿の水がなくなるとその妖怪はしんでしまうのだろうか?と考えたりした。
みたい気はするかもしれないが、たぶんきっと、みてしまったら、知恵を搾りつくりあげた貴重なザリガニつりの道具や、大事な靴を全部、ほうりなげて逃げたかもしれない。
毎回、いくたびに、ああ今日もみなくてよかったと残念そうに感じたものだった。
by響摩そら
(Hibima Sora)
響摩そらの小説について。
ほんとうに大切なものを教えてくれる
不思議で温かな物語
心を閉ざしていたコースケは
ハルカに連れられて高台の広葉樹のもとへ
秘密の箱
記憶
キーホルダー
目覚め
人生において大切なことは
人によって違うかもしれない
しかし、この、ささいでも大切なことが
奇跡を起こし人生に希望を与えるのだと
私は信じたい
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著者プロフィール(響摩そら)
1978年02月26日生まれ、群馬県出身。
2歳半の頃、重度の肺炎を患い右耳の聴力を失い、左耳に残ったわずかな聴力を補聴器で補う。
聴覚のハンデを負いながらも、小、中、高と普通クラスに進学、卒業。
その後、農業専門校へ進むも中退。
心の病、ひきこもり、フリーターを経て職につくも、聴覚障害による業務などのコミュニケーションの壁にぶつかり挫折。
自分自身の進むべき道や障害を持つ者としての在り方を問うなか、あとりえBirdplanning.comを立ち上げ、のちにあとりえひびまそらと改名し今日に至る。